case3:土木工事に伴い発生するセレン含有排水浄化
公共 | 2013年 / 東日本 |
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目的 | 掘削現場からの排水処理 処理量:非公開 対象物質: セレン |
ソリューション | 凝集沈殿方式 |
掘削現場の湧き水汚染を、新規合成資材により現地で解決
困りごと発生
自然由来重金属類汚染が確認された地域でのトンネル工事が進んでいましたが、ある地点からの湧き水に基準値を超過するセレンが検出されました。
以前この工事地区付近で遮水工により汚染土壌の対策が行われ、破損などの原因により浸出水が漏洩している可能性が高いということです。
そこで急遽、工事現場内にセレン処理設備を設け、対策を講じる必要に迫られました。
問診
この物件はトンネル工事を行っている施主から直接問い合わせを頂いたのではなく、協力企業からのSOSからはじまりました。
協力企業が当初提案していた処理材では処理が上手くいかず、添加量をかなり高く設定したとしても基準値を切ることができるかどうか微妙な状況であったとのことでした。
そこで協力企業からセレンに対し、有効な処理材があれば是非とも提案してほしいとの打診を受け、検討に着手しました。 また、問診をさせていただいた結果、以下のことがわかりました。
・工事現場内ということでハイスペックな処理設備を設けることは敷地面積や予算の関係上不可能
・そのため原始的でシンプルな処理である必要がある
検証
現地でサンプリングされた汚染水を提供して頂き、先ずは効果があると期待できる資材を幾つか試してみました。
基本的にはセレンは処理が難しいものではなく、資材の選定には時間はかからないだろうと考えていました。
しかし様々な資材を試してみましたが、何れも効果が出ないという結果が続きました。
計画立案
この結果からこれまでのセレンに対するアプローチ方法を根本的に変更する必要があるのではと考え、これまでとは全く異なる反応を有する資材の合成を行いました。
あらゆる吸着材に効果がなかったため、単純な吸着反応だけでは効果がないという可能性から、そもそもセレンが吸着し難い状態にあるのではと考えました。
そこで吸着反応だけではなくセレンの状態を吸着し易い状態に変化させる反応を組み込むことで2段階の反応を以ってアプローチを行いました。
問題解決
この新規合成資材TKS105を汚染水に添加したところ、これまで全くと言っていいほど濃度が変化しなかったものが、一気に不検出レベルまで落とすことができました。
さらには反応時間も短く、添加量も少なく効果が発動するという事が分かりました。
この結果を直ぐに協力企業へ報告し、早速現地での試験が行われました。
現地でもその効果は問題なく発動し、不検出レベルまでの処理が可能となりました。
処理方法も汚染水に対し所定量添加し、数分撹拌するだけという非常にシンプルであり、現場でもすぐに処理を開始できるということで導入となりました。
担当者コメント
この物件を通して改めて、実際の汚染物質を相手にすることは難しいものであると痛感しました。
しかしこのような難問にぶつかることは、これまでに無い新しい資材が生まれるチャンスでもありますので、AMECは積極的に難易度の高い処理にチャレンジしていきます。